紅桔梗

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曇天に笑う~犲の誓い~ 感想

総合格闘技のチケットをいただいていて、素人ながら先日観戦に行きまして。

とても楽しく新鮮な時間を過ごしたあと、一緒にいた友人と「そういえば曇天外伝の映画やってたよね?」という話になり、「曇天に笑う~犲の誓い~」を観てきました。

私が剥き出しの筋肉が苦手なために、進撃の巨人ブームにはあまり触れてこなかったのもあって、WIT STUDIOさんの作品をきちんと一本拝見するのは初めてだったのですが、やはりというか期待を裏切らないアクションが流石でした…!!

日付変わって今日が最終上映日ですので、ご興味ある方は是非劇場に足を運んでくださいヽ(´▽`)/

 

以下ネタバレありますので注意です。

 

曇天に笑う外伝(上)に収録された、大蛇討伐後のキャラクターたちと、犲の過去を描いた第一話から第三話までを映像化した作品。

まだ幼き日の天火や蒼世、生前の大湖さんなどなど、本編から続く後日談と前日譚。

一時間という尺のなかでとてもテンポよく進んでいくので、終始楽しく見れました。

一番笑ったのが天火が蒼世を笑わせるシーンなんですが、吹き出すまでと、そこから走り出す間の取り方のリアリティが絶妙。回想に入るまでは真面目そうな印象の蒼世のまま回想に入って、そのまま笑わなそうな顔をしていた蒼世もやっぱりまだ子供で、大人→子供→決別までの一連の流れ、いまの彼と過去の彼との共通点や相違点が違和感なく客に伝わるあたりがとても上手いな、と。

それから芦屋の能力を客に伝えるための小粋な演出がとても美しく、その場面の音楽の使い方もとてもよかった…!「このキャラクターはどんなキャラクターなのか」を伝えるための演出の追加がとても素敵なものが多かった。とくに、大湖さんの台詞が音になって、今回のアニメーションの順番で語られたのには泣きました。

「俺は強いだろう?」の圧倒的安心感よ…!

「足りないのは経験」ということを明文化されたのはアニメだけだったような。当時の彼らの詰めの甘さ、それをカバーするのは一体だれで、どういう行動理念で動いているのか。アニメーションという表現方法のなかで、よく整理されて見えました。

 

彼がまだ幼い武田に対して「優しいな」と言ったのには、思わず優しいという言葉の意味を考えてしまいました。

武田の優しさは「妹を思いやるあまりに、その命を救うために全てを投げ打てること」。「相手を思いやり国を思うからこそ、家族や仲間を殺せる」犲の理念とは対局にある。

けれども私は、犲のその理念も「優しさ」だと思っていて、どちらが正しく優れている優しさというわけではないけれど、人を想う優しさのかたちを、改めて考えさせられました。

 

「捨てるのか!夢も全て…!」

予告でもう何度も何度も聞いたセリフなんですが、ああ、このキャスティングはこのセリフのためにあったのでは……ってくらい、ほんとに、絵と、声のテンポが素晴らしい……!

天火が守ろうとしたもの、蒼世が信じていたかったもの、その結果が生んだすれ違いや難しさは原作読めば嫌というほど思い知らされるんですが、このあとに悔しさをにじませながら部屋を去る蒼世を見ていて本当辛かったです……。

芦屋が「犲は俺の居場所」とまで言うようになった、その言葉の中に、もういない大湖の姿があるのだろうなとも。(このとき扉に向かって振り返る芦屋のベルトにしめられた服のたるみが最高でした、、、!!!)

 

「俺、頑張ったか……?」

誰がなんて言おうとものすごく苦しい思いを背負って立っていたでしょう貴方、な天火さん。本編で蒼世に「散っていけ、ひとり高みのまま」という台詞がありますが、誰にも弱さを見せないことで自分を守っている、とても強くて、とても弱い人だと私は思っていて。

つらくて苦しくて、それを誰にも言えなくて、言うのが怖くて、それを吐き出すシーン。それを見つめる犲の隊員たち。もうね、泣くなって方が無理……………。

あと天火も犲カウントされてましたね。友人がアレはちょっとなあって言ってて気づきました。ナチュラルに数に入ってた……。まあ曇三兄弟と犲を明確に分けちゃうと、いい感じにテンポよく来てた一体感が崩れちゃう気がしなくもないので、演出としては私は好きです。

 

映画、エンディングのオーケストラ感、いろんな楽器が優しく響いてくる感じがすごく良かったんですが、そのあとのエンドパート?(テレビアニメだとCパートって言いますよね…?)で弦楽器だけが残るの、本当に本当によかった……優しい余韻が残って泣きました。

 

あああ語りたいこといっぱいあるんですが、頭の整理がつかないのでこのあたりで。

叶うならもう一度劇場で見たい作品です。6月9日の次作も楽しみだなあ。